「不動産を買った際にかかる税金の基礎知識」減価償却について

償却資産については以前に学習をしてきましたが、今回は「減価償却」について解説をしていきたいと思います。

減価償却とはどのようなことを意味するのか、減価償却の対象になるのはどのようなものか、また減価償却の計算の仕方等について見ていきます。

今回は減価償却について基礎知識から幅広く取り扱っていきますので、最後までお読み頂けますと十分にご理解頂ける内容となっております。

減価償却とは?

減価償却とは、償却資産と呼ばれる一定の資産に対して取得費用を一気に計上するのではなく、複数年にわたって費用を分けることを言います。

原則としてこの償却のための分配期間は自由に決定することが出来ますが、法人の場合には法律上減価償却のための費用の上限が設けられています。

減価償却をするためには、いくつか方法があります。

現在認められているのは、以下の定額法・旧定額法・定率法・旧定率法の4種類あり、それぞれどのような手法となるのか見ていきたいと思います。

なお、定額法と定率法との違いは、前者は「一定の金額」で減価償却を行うのに対し、後者は「一定の割合」にて減価償却を行う点にあります。

定額法・旧定額法、そして定率法・旧定率法という主に2種類の減価償却法についてどちらを使用しても問題はないのでしょうか。

実際には、これらの区別としては、定額法・旧定額法は建物関係の償却資産について適用され、定率法はそれ以外の償却資産に適用されることになっています。

ただし、例外もありますので詳しくは専門家に確認してみましょう。

また、以前まで使用されていた旧定額法・旧定率法については現在使われておらず、新しく用いられる減価償却には定額法・定率法のいずれかが適用されることになっています。

これらの減価償却を算出するための4つの計算式については、以下で説明をしていきます。

定額法のイメージ

定額法は、一定の金額で減価償却を行うということですが、具体的なイメージを持つために、例えば、取得価額が600万円の自動車を購入した場合には、次のように減価償却をすることになります(なお、自動車の法定耐用年数は6年となっています)。

 

1年目 100万円(残り500万円)
2年目 100万円(残り400万円)
3年目 100万円(残り300万円)
4年目 100万円(残り200万円)
5年目 100万円(残り100万円)
6年目 999,999円(残り1円)

このように、600万円の取得価額の償却資産を減価償却すると、毎年100万円ずつ減価償却されることになりますが、上記の計算結果では最後に1円が残っていることが分かります。

もし、この1円を残さず6年目に今までと同じく100万円を減価償却してしまえば、自動車の資産価値が0円になってしまうことになります。

このような事態を回避するために、1円を敢えて残すことを「備忘価額」として表します。

定率法のイメージ

定率法は、一定の割合で減価償却を行うということですが、具体的なイメージを持つために、例えば、取得金額500万円の工具器具備品を購入した場合には、次のように減価償却をすることになります(なお、工具器具備品の法定耐用年数は5年となっています)。

定率法により減価償却をしていく上では、まず「償却率」を求める必要があります。

「減価償却資産の償却率表」によると、法定耐用年数5年の償却率は0.4となっています。よって、以下のように計算することが出来ます。

1年目 200万円(残り300万円)
2年目 120万円(残り180万円)
3年目 72万円(残り108万円)
4年目 43万2,000円(残り64万円8,000円)
5年目 25万9,200円(残り38万8,800円)
6年目 15万5,520円(残り23万3,280円)
(続く)

ところが、定額法とは異なり、定率法の場合には、割合で減少していくために、最後まで減少をするのに何年もかかってしまうことになります。

そこで、一定程度進むと、定額法に切り替えるのが良いのではないかという考え方が生まれました。

そこで、償却保証額と改訂償却率という2つの概念を用います。償却保証額までは通常の定率法により計算をし、それ以降は改訂償却率を用いて計算をしていくということになります。

「減価償却資産の償却率表」によると、法定耐用年数5年の償却保証率は0.10800となっています。

取得原価にこれをかけると、

償却保証額 = 500万円 × 0.10800 = 54万円

つまり、54万円までは通常の定率法で求めるということになります。

上の計算結果では、4年目に、

43万2,000円<54万円

となってしまっているので、4年目以降は改訂償却率により算出していくということになります。

法定耐用年数5年の改定償却率は、0.500となっています。

よって、4年目以降には通常の償却率の0.4をかけるのではなく、0.500をかけます。

3年目の期末として残っているのは108万円ですので、計算結果は以下のようになります。

108万円 × 0.500 =54万円

この54万円を基準にして、定額法により減価償却をしていくことになります。

したがって、4年目以降の場合以下のようになります。

4年目 108万円―54万円=54万円(残り54万円)
5年目 54万円―53万9,999円=1円

定額法による場合、資産価値を残すために備忘価額を用いましたので、今回も同様に0円とするのではなく、1円を残した状態で算出します。

定額法と定率法の考え方

定額法と定率法の算出方法は、初めて計算すると少しややこしいように見えますが、計算の考え方を押さえれば納得することが出来るはずです。

定額法はそのまま素直に同じ金額で減価償却をしていく。

一方で、定率法は同じ割合で減価償却をしていき、そのまま最後まで減価償却をしていきたいが、割合で減少する場合なかなか終わることができないので、途中で定額法の考え方を取り入れて、減価償却の速度を速めるということをしています。

「償却保証率」と「改訂償却率」というなんだか聞きなれない用語がありますが、これらの結果を算出するためのものであるというイメージを持って頂ければと思います。

減価償却資産にはどのようなものがあるか?

減価償却の対象となる減価償却資産には、2種類の有形減価償却資産と無形減価償却資産に分けることが出来ます。

それぞれどのようなものがあるのか見ていきましょう。

有形減価償却資産

  • 車両
  • 建物
  • 工具、備品
  • 航空機
  • 船舶

有形減価償却資産には、建物や航空機など物理的な大型の機械など何年間も使用する比較的高価なものが挙げられています。

これらの資産は、短期的に使用して終わりというわけではなく、何年も繰り返し使用するものとなりますので、減価償却資産に当たると考えられています。

無形減価償却資産

  • ソフトウェア
  • 営業権
  • 意匠権
  • 特許権
  • 商標権
  • 漁業権
  • 水利権

無形減価償却資産には、知的財産権や営業に関する権利が目立つことが分かります。

意匠権や特許権など知的財産に関する権利は目に見えない権利ではありますが、資産として価値は非常に高いことから、企業が活動をしていく上で非常に貴重なものであると考えることが出来ます。

また、漁業権や水利権など営業に関する権利も同様に捉えることが出来るでしょう。

つまり、これらの権利を今後継続的に活動するための長期的な資産価値と解釈することで、有形減価償却資産と同じように、無形資産としての減価償却資産とすることが出来るということです。

減価償却の計算の仕方とは?

ここでは、減価償却をするための計算方法について解説をしていきます。

減価償却のための償却限度額を求める計算法としては、先ほどお伝えしましたように、定額法・旧定額法・定率法・旧定率法があります。

現在使用されている定額法・定率法と従来使用されていた旧定額法・旧定率法との違いは、平成19年3月31日を基準として、以後に取得した減価償却資産の計算には、前者の計算法を利用することになります。

ただし、定率法に関しては平成19年4月1日施行以後、平成24年4月1日に内容が変更されました。

定額法による場合には、計算式は以下のようになります。

減価償却限度額 = 取得額 × 耐用年数による定額法の償却率

定率法による場合には、計算式は以下のようになります。

減価償却限度額 = 期首帳簿価額 × 耐用年数による定率法の償却率

また、今回は現在の計算式と従来の計算式の違いについても確認をしてみたいと思いますので、ご紹介させて頂きます。

旧定額法の計算式はこのようなものでした。

減価償却限度額 = 取得価額 × 0.9 ×耐用年数による旧定額法の償却率

旧定率法による場合には、計算式はこのようなものでした。

減価償却限度額 = 期首帳簿価額 × 耐用年数による旧定率法の償却率

耐用年数のルールについて

減価償却の対象となる償却資産には、減価償却のための耐用年数を決めることになります。

この耐用年数としては、対象となる資産によって異なることになっています。

なお、法律上でも減価償却の耐用年数は決められており、この法律上定められた耐用年数のことを「法定耐用年数」と呼びます。

また、中古の減価償却資産にも耐用年数を決めることが出来ます。こちらについてもどのように考えることが出来るのか解説をさせて頂きます。

耐用年数に関するルールはどのようになっているのか?

ここでは、法定耐用年数の一部を例として、ご紹介していきたいと思います。

「建物」の場合

用途 建物の構造
木造又は合成樹脂造 木骨モルタル造 鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造
店舗用 22年 20年 39年
住宅用 22年 20年 47年
倉庫用 17年 15年 39年
事務所用 24年 22年 50年
飲食店用(木造部分が過半数の場合) 20年 19年 34年

「建物に不足している設備」の場合

設備名称 耐用年数
給排水設備 15年
消化、排煙設備 8年
電気設備(蓄電器) 6年

法定耐用年数は、上図のように定められています。

このように、「建物」という償却資産一つをとっても、建物の構造によって耐用年数は変動するものであることが分かります。

「建物」であるからと一律に耐用年数を定めるのではなく、同じ建物であってもその建物の持つ性質を考慮して、具体的に耐用年数を変えているという訳です。

また、建物というものはその用途によって耐用年数は異なるものです。

例えば、一般的な会社のオフィスとして使用している建物と多くの会社の商品を収納している倉庫だと建物内の使用用途が全く違います。

倉庫であれば、製品の入れ替え、機械を搬入して工具などを使用することになりますので、耐用年数は比較的短くなっています。

減価償却資産が中古である場合には?

減価償却資産が既に使用されていて、中古である場合には、耐用年数はどのように考えることが出来るのでしょうか?

取得価額が低い中古の減価償却資産の耐用年数の算出として、以下のようなものがあります。

法定耐用年数のうち、一部を経過してきたものは、次のように計算します。

使用可能な耐用年数 = 法定耐用年数―経過年数+(経過年数×20%)

法定耐用年数をすべて使用した減価償却資産については、次のように計算します。

使用可能な耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%

耐用年数を一部経過しているものについては、経過している年数によって残りの耐用年数が決まるということになります。

すべての耐用年数を使用した減価償却資産については、2割少なくして残りを使用することが出来るということになります。

まとめ

減価償却という範囲は、会計の分野の中でも非常に難易度の高い分野ということが出来ます。

そのため、一般の方ではなかなか深く理解をすることが難しいといえるのではないでしょうか。

そこで、今回は減価償却について分かりやすくまとめてきましたが、重点的に減価償却の考え方を掴んで頂くことに注力してまとめてきました。

定額法・定率法の使い方、減価償却のイメージを少しでも感じ取って頂ければよろしいのではないかと思います。

少しでも分からない点がございましたら、専門家に一度相談をしてみましょう。

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