「賃貸の収入にかかる税金の基礎知識」法人の場合

不動産を賃貸したときには、どのような税金がかかるのでしょうか?

皆さんは、法人に対してかかる税金として何を思い浮かべますか?

一つは「法人税」という名称の税金を聞いたことがあるのではないでしょうか?

しかしながら、法人に対してかかる税金には他にもあります。

今回は、法人という納税主体に着目をして不動産賃貸に関する税金の理解を深めて頂きたいと思います。

具体的な計算例もお伝えしますので、最後までお読み頂ければと思います。

不動産を賃貸するとき法人はどのような税金を支払うことになるのでしょうか?

不動産を賃貸した場合、私たちは賃貸の収入に対して税金を納めなければいけません。

ところが、ここでかかる税金について不動産を賃貸した主体が法人であるか個人であるかによって異なることになります。

今回は、不動産を賃貸するときに、法人を主体にした税金としてどのようなものがあるのか見ていきましょう。

法人の税金に対する考え方について 

法人が利益を上げることに対してかかる税金として、「法人税」があります。

法人税の場合には、法人が上げた利益として、「企業会計上の利益」又は「法人税法上の所得」の2種類に分かれることになります。

前者は、法人の収益より費用を差し引くことにより求めるのに対し、後者は益金より損金を引いたものとして算出されます。

これらの概念は凡そ同じことを意味するのですが、若干程度内容を異にするところがあります。

そこで、これらの違いを勘案した上で、より正確な法人の利益を計算するために、

法人税法上の所得 = 企業会計上の利益に一定の調整を加えたもの

上記のように表すことが出来ます。

法人が計上した利益が赤字である場合には、法人の税金は支払わなくても良いはずです。

したがって、法人の税金を見るときには、黒字企業のみ考えれば良いということになります。

法人の税はどのように計算するのでしょうか? 

法人にかかる税金は、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人特別税の合計金額を計算すればよいことになります。

それでは、それぞれの法人の税金はどのように算出すればよいのでしょうか。

以下で、具体的に見ていきましょう。

法人税の場合

法人税の計算は、以下のように行います。

法人税 = 法人の所得 × 法人税率

ここで、「法人の所得」というのは、先ほど確認をしてきました法人の利益の部分となります。

「法人税率」ですが、以下のように考えることが出来ます。

法人税率

資本金 法人所得 税率(平成30年度以後)
1億円以下 800万円以下の部分 15%
800万円超の部分 23.2%
1億円超 すべての所得 23.2%

1億円を超える資本金を有する企業は、すべての所得について資本金が1億円以下の企業の800万円を超える所得に対する税率と同率がかけられることになります。

地方法人税の場合

地方法人税は、地域の財政格差を緩和させるために設けられた税金です。

地方法人税は、以下のように算出することが出来ます。

地方法人税 = 法人税 × 4.4%

法人住民税の場合

法人住民税は、法人所在地の都道府県及び市町村が主体となって徴収する税金です。

法人住民税は、以下のように算出することが出来ます。

法人住民税 = 法人税 × 法人住民税率 + 均等割額

ここで、「法人住民税率」についてまず考えていきたいと思います。

法人住民税率は、法人の事業所が所在する市区町村によって税率が異なるのですが、今回は東京を例に見てみたいと思います。

事業所の所在地の別 事業開始年度が平成26年10月1日以降 事業開始年度が平成31年10月1日以降
事業所が市町村にあり 3.2% 1.0%
事業所が23区内にあり 12.9% 7.0%

※上記表の税率は、資本金が1億円以下であって、かつ法人税が1,000万円以下の企業の場合について表しています。

それでは、「均等割額」についてはどのように考えれば良いでしょうか?

こちらは少し複雑ですが、東京都を例にして考えてみますと、(1)都内の特別区のみに事業所がある法人、(2)都内の特別区と都内の市町村に事業所がある法人、(3)都内の市町村のみに事業所がある法人の3種類に分けて考えていく必要があります。

(1)都内の特別区のみに事業所がある法人の場合

主たる事務所 従たる事務所
資本金 均等割額(括弧内は従業員50人以下の均等割額)
1千万円以下 14万(7万) 12万(5万)
1千万円超~1億円以下 20万(18万) 15万(13万)
1億円超~10億円以下 53万(29万) 40万(16万)
10億円超~50億円以下 229万(95万) 175万(41万)
50億円超~ 380万(121万) 300万(41万)
公共法人・公益法人の場合 7万 5万

(2)都内の特別区と都内の市町村に事業所がある法人の場合

資本金 均等割額(括弧内は従業員50人以下の均等割額) 道府県分
1千万円以下 12万(5万) 2万
1千万円超~1億円以下 15万(13万) 5万
1億円超~10億円以下 40万(16万) 13万
10億円超~50億円以下 175万(41万) 54万
50億円超~ 300万(41万) 80万
公共法人・公益法人の場合 5万 2万

(3)都内の市町村のみに事業所がある法人の場合

資本金 道府県分
1千万円以下 2万
1千万円超~1億円以下 5万
1億円超~10億円以下 13万
10億円超~50億円以下 54万
50億円超~ 80万
公共法人・公益法人の場合 2万

法人事業税の場合

法人事業税は、法人の事業に対して、法人の事業所が所在する都道府県が主体となって徴収する税金です。

法人事業税は、以下のように算出することが出来ます。

法人事業税 = 法人所得 × 税率

ここで、法人事業税の税率は次のように考えることが出来ます。

資本金 事業開始年度が平成28年4月1日以後 事業開始年度が平成31年10月1日以後
資本金1億円以下 年400万円以下の所得 3.4% 5.0%
年400万円超年800万円以下の所得 5.1% 7.3%
年800万円超の所得 6.7% 9.6%
資本金1億円超 年400万円以下の所得 1.995%
年400万円超年800万円以下の所得 2.835%
年800万円超の所得 3.780%
軽減税率不適用法人

※上記表の税率は、軽減税率適用として、資本金が1億円以下であって、かつ法人税が1,000万円以下の企業の場合について表しています。

地方法人特別税の場合

地方法人特別税とは、地方法人税と似ていますが、計算方法が異なる税金です。

地方法人特別税は、以下のように算出することができます。

地方法人特別税 = 基準となる法人所得 × 地方法人特別税率

法人の種類 事業年度が平成28年4月1日~平成31年10月1日
外形標準課税法人 414.2%
外形標準課税法人以外の法人 43.2%

法人の税金を計算してみましょう

ケース:法人Aは、東京に本店を有し、従業員は10名で資本金は600万円とする。

当該法人の事業年度は平成30年4月1日より平成31年3月31日までとし、当該事業年度の所得は500万円とします。

法人税:資本金が1億円以下であり、かつ所得金額が800万円以内であるので、税率は15%となります。

法人税 = 600万円 × 15% 
= 90万円

地方法人税:上記より法人税が90万円であることが分かっているので、これに税率をかけます。

地方法人税 = 90万円 × 4.4%
= 39.6万円

法人住民税:法人住民税率は、事業所が東京23区内にあるため、12.9%、そして均等割額は東京都特別区のみに所在しており、資本金が1千万円以下、かつ従業員が50人以下であるため、7万円となります。

法人住民税 = 法人税 × 法人住民税率 + 均等割額
= 90万円 ×12.9% + 7万円
= 18.61万円

法人事業税:資本金が1億円以下の企業において、400万円までの所得については3.4%の税率がかかり、800万円までの所得については5.1%の税率がかかるため、次のようになります。

法人事業税 = (400万円 × 3.4%) + (200万円 × 5.1%)
= 13.6万円 + 10.2万円
= 23.8万円

地方法人特別税:
地方法人特別税 = 23.8万円 × 43.2%
= 10.28万円 

合計:
法人税+地方法人税+法人住民税+法人事業税+地方法人特別税
=90万円+39.6万円+18.61万円+23.8万円+10.28万円
=182.29万円

不動産を賃貸するとどのような利益を出せるのでしょうか?

不動産を賃貸して得られる利益としては、例えば、
賃料・共益費・水道光熱費・駐車場代金・敷金(保証金)・更新料などが考えられます。

これらを決められた支払日がある場合にはその日に、更新料は不動産の引き渡しの日に、また敷金(保証金)は返還をしないことが確定した日に収入として計上することが出来ます。

不動産を賃貸するとどのような費用が掛かるのでしょうか?

不動産を賃貸して支払う費用としては、例えば、
固定資産税、消費税、管理費、修繕費、減価償却費などが考えられます。

これらのうち、1年以上費用として支出することになるものは、数年間にわたって償却される繰越資産となります。

細かい償却期間についての確認は、専門家に確認をとるようにしてください。

法人と消費税について

法人が不動産を賃貸するときにかかる税金として忘れてはいけないものが、「消費税」です。

消費税は、普段の生活上当たり前のように発生する税金ではありますが、ここで改めて法人にかかる税金としての消費税の特徴としてどのようなことをポイントとして押さえておけば良いのか理解しておきたいところです。

消費税を支払うべきときと支払わないとき

消費税は、私たちは当たり前のように支払うべき税金ではありますが、法人の場合は実は必ずしもそうではありません。

法人の場合には、全前年度の売上高が1000万円を超えない場合には、「免税事業者」ということになり、消費税を支払う義務を免除されることになります。

一方で、1000万円を超える売上を上げた場合には、「納税義務者」となり、消費税を納めなければいけません。

例えば、下図を例に見てみましょう。

年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度
売上額 900万円 1300万円 750万円

この場合には、平成28年度において、売上高1000万円を下回っておりますので、翌年の平成30年度は免税事業者の扱いとなり、消費税の納税義務を負わないことになります。

一方で、平成29年度は1000万円を超えてしまっているので、平成31年度は納税義務者となり、消費税を納める必要が出てきます。

消費税課税の対象とならない取引もあります

法人の場合には、先程一定の売上げを上げなければそもそも消費税を納める必要がないことをお伝えしました。

更に、法人の場合は利益を上げても消費税の対象取引から除外されるものもあります。

例えば、居住用の住宅を賃貸することは、消費税課税の対象とはなりません。

同様に、土地を賃貸しても非課税の扱いとなります。

一方で、居住用ではなく事業のための建物を賃貸することは、消費税の対象取引となります。

消費税は、消費をすることに対してかかる税金ですが、その性質にそぐわない取引については課税されないものがあります。

消費税を計算してみましょう

改めて、消費税の計算方法について見てみましょう。

消費税は、以下の計算式により算出することが出来ます。

消費税 = 売上高 × 消費税 - 仕入れ金額 × 消費税

また、簡便的な計算方法として、以下のような計算もあります。

消費税 = 売上高 × 消費税 - 売上高 × 消費税 × みなし仕入れ率

こちらの計算式を利用するためには、売上高が5000万円以下であり、かつ所定の書類を届け出ることが必要となります。

現在消費税は8%(内、地方消費税が1.7%)ですが、平成31年より10%(内、地方消費税が2.2%)に上がると発表されています。

まとめ

今回は、不動産を賃貸したときにかかる税金として、法人を主体としたものをお伝えしました。

法人が納める税金としては、法人特有の法人税の他に、法人住民税など多くの税金が存在することをご理解頂けましたでしょうか。

また、簡単にではありますが法人が納める消費税についてもどのような仕組みになっているのかイメージだけでも掴んで頂ければと思います。

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